2002年11月発行 No.61


●JCO事故をきっかけにしてできた『原子力防災研究会』は、「住民、行政、原子力事業者、原子力や医療の専門家、マスコミなどの幅広い分野の人が、個人の立場で参加」している

●9月29日、同研究会主催のシンポジウムが行われた

●中でも、「市民版(原子力防災)マニュアル」は、東海村の4人の女性が中心となって「地域に根ざしたモデルを提案」したもので、大きな関心を呼んだ

●東海村村民がこれまで原子力防災に主体的に取り組めなかった理由は「40年にわたり原子力と共存共栄してきた・村内就業者の内3分の1が原子力関連事業所に勤務している・安全や防災は行政や事業所に任せておけば良いとする傾向」さらに「原子力問題に取り組むのは推進派・反対派と二分される傾向にあり、強い思想を持ってする運動という認識が」あったからだという

●そんな中で彼女達が一から市民版マニュアルを作成することはどんなに苦労であったことか。これを評価して、かの村上達也村長は「自立した村民の誕生」と語った

●『試作』としてでき上がった同マニュアルは生活者の目で真剣に練られており、カレンダーの中に情報を盛りこんで、いつでも目につく場所に置いてもらおうという工夫もある

●しかし彼女達の「東海村への提言」にもあるように、一時集合場所へは徒歩で40分(車は使用不可)かかる地域もあり、「高齢者や乳幼児を連れ、事故の最中に3日分の荷物を持ち、長時間歩くのは危険が多すぎる」に同感である

●村は一時集合場所からバスで村民を、病人等は救急車で避難させるというが、いったい何台のバスや救急車を用意するつもりでいるのだろうか?この方法は現実的ではない

●コネティカットの防災マニュアルにあるように、各家庭の車で整然と村外へ避難する方法を検討できないものか、ぜひ原子力対策課の方達にも考えていただきたい

●この日、いわゆる「原発反対派」は私ひとりであろうと思われる会場で強い孤立感を感じると同時に、「市民版マニュアル」を作ろうとしている彼女達に熱い共感を覚えた。

                                              【2002年11月 伏屋】

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